Macross 117 「マオの旅立ち」第七話

この時点でグレイスは、軍のトップを抱き込んでいたが、計画を始めるためにはまだ不十分であった。
実行の為の部隊をグレイスは編成したが、その際にバジュラの脅威を上げ、一大隊全てをサイボーグ部隊として編成。サイボーグ兵には、全てコントロール用チップを密かに埋め込んでいった。更に使用中止になっていたGhostV9を密かに改良いつでも実戦に投入できるようにしていた。
その間にもグレイスはバジュラの研究に没頭していく、自らもサイボーグと化していった。この体は本当に便利であった。何人かで共有していたが不便は感じなかった。24時間休みなしで働けるし、計算能力、体力とも人間など比較にならない。
政治家ともコンタクトをとり自身の親派を増やしていったが、肝心なところが、バジュラのプロトコル解析がどうしても進まない。バジュラは必ず自身の夢を叶えてくれる憎い生物。絶対に利用して自分は宇宙を手に入れる。そのためにはバジュラの秘密を解明しないといけない。その秘密を解明できる人物はもうこの世にはいない。Doctorマオは何かつかんでいたに違いない。ひょっとしてランシェも、でも二人はもうこの世にいない。この二人を殺した憎いバジュラを絶対に支配して私は宙を掴む。恩人Doctorマオノームの願いを私は果たす。どんな手段を使ったとしても。
歌巫女ノームの血が途絶えてしまった今、もう手はないのか?自分達の計画に巻き込まれて死んでいった最後のノームの血、でもまだ子供の死体が見つかっていない。何処かで朽ち果ててしまったのか?グレイスはサラの死体が見つかったスラムを彷徨っていた。その時一人の少女が残飯をあさっていた。その顔を見た瞬間グレイスは確信した。「シェリル、やっと見つけた」グレイスは自分の研究室へこの子供を連れて行き検査をした。DNAは、完全に一致した。「今蘇るのよノームの血が」グレイスは、シェリルにバジュラの血清を注入した。この時点でシェリルはB型感染症になって行った。本人も知らないうちに。
シェリルは体力を取り戻し、亡くなった母のことを知っているグレイスとの生活に自分を取り戻していった。その先にあるものは歌だった。グレイスに相談すると彼女は応援してくれた。自らマネージャーも努めてくれて、自分を売り込んでくれた。めまぐるしく大変な毎日であったが、自分の身の上を悲しむ時間を忘れていった。いつしか彼女は銀河系を又に掛ける超売れっ子アーティストとして飛び回っていた。かつて自身の母がそうであったように。シェリルはいつもイヤリングを見て、ひとり泣いていたがこのことは誰も知らなかった。
グレイスの研究は思ったより進まなかった。シェリルを見つけたときはすぐにでも解決できると思っていたのに、シェリルのDNAは、何も語らなかった。バジュラへの対抗策は充分出来た。ここは賭けをするか?自分の体を共有する仲間と協議した結果、グレイスはシェリルに移民船団巡回の銀河ツアーを提案した。大変な旅になるシェリルは思ったが、断る理由は勿論ない。このツアーでシェリルの名を不動のものに出来る。イヤリングを握り締めながらシェリルは決意を新たにしていった。
ツアーは各地で盛況のあらしを巻き起こしシェリルはアイドルから名実ともに、アーティストへと成長していった。そしてツアーのフィナーレを飾る大25次移民船団マクロスフロンティアを目前にシェリルは祖母の夢を見ていた。記憶などほとんど無い祖母の鮮明な姿がシェリルを見つめていた。心配そうに。その時グレイスの声がした。「起きてシェリル!!」シャトルのシェードが開き光が飛び込んできた。目が光に慣れるとそこにはフロンティアの自然が目に入る。「うみ〜」人口の海ではあるが、その青さがシェリルの目に焼きついた。疲れで体は悲鳴をあげていたが、それを超える情熱がシェリルを包む。「私はシェリル、シェリル・ノームよ」そうつぶやきシャトルを後にする。
続く
この物語は、TV版、劇場版、OAV版、その他マクロスシリーズとは一切関係ありません。
又、著作権侵害の意思もありません。あくまで本人の妄想です。

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