Macross 117 「マオの旅立ち」第3話
マオの家族は平穏を取り戻した。
このままマクロスにいれば宙に飛び立つことが出来るかもしれない。その為にマオは情報を集める。地球を襲ったのは、巨人族ゼントラーディー人。
戦闘が終わってから統合政府は今までの秘匿主義から、様々な情報が公開されることになってきた。マオの研究はやりやすくなっていった。
ある日マオは、カフェで一人たたずむ軍の士官に出会う、どこかで見たことがあるその女性は寂しそうだった。バスケットの中のサンドイッチをのら猫に食べさせていた。孤立したマオ達家族を救ってくれたパイロットと一緒にいた女性だった。マオは救出時にお礼も言ってなかったのでこの女性に近づきお礼を言った。女性は微笑み暫く二人は話しこんだ。そのうちひょんなことから文化人類学の話しになっていた。
この女性は早瀬美沙といい軍の高級士官であった。
彼女はマオの見識に驚き自分の持っているゼントランディーの情報をぶつけてみた。マオはそれをどんどん解いていく。美沙はマオを軍に招いた。この時を機にゼントランディーとプロトカルチャー、地球人類の謎がどんどん解明されていく。しかし完全には解明できないものもあった、それはあの日宙に消えた鳥の人の謎であった。
鳥の人は明らかに何らかの生物を模したもののようだとマオは考えていた。宇宙空間を飛び重力を自由に操るプロトカルチャーに、羽は必要なかった筈だ、ゼントラーディーの船にもその痕跡は無かった。プロトカルチャーにも鳥の人がいたのではないか?マオはそう思うようになっていった。宙に出たら分かるかも知れない。マオは一層宙への想いを強く持つようになった。

地球はその頃復興にむけ、比較的被害の少なかった場所を中心に自然を残しながら、都市の建設をはじめ、各都市間の高速鉄道や、ローカル鉄道を整備していた。
ほとんどの区間が戦火を免れた飯田線最深部(三信鉄道部分)は、そのまま幹線鉄道のバックアップと過去の地球の大自然を残す観光鉄道として蘇ってきた。これを機に鉄子の家族は、ふるさとに帰る事になった。マオも一緒に行きたかったが、行ってしまえば宙には行けなくなってしまう。
マオは引越しを手伝った。上司の早瀬美沙大佐に話すと一週間の休暇と輸送機を提供してくれた。大掛かりな引越しとなってしまって鉄子の両親は恐縮してしまっていた。以前の大佐の事を、融通の利かないガチガチの石頭の軍人と聴いた事があるが、早瀬大佐は全然違う。「噂ってあてにならない」、そう実感した。
引越しを済まし輸送機は撤退の準備を始める。マオの元にバルキリー隊の隊長、一条少佐が来て、バルキリーを持ってきた。「何かあったら、これで帰ってきてください」そう言って一条少佐は輸送機に消えていった。この頃マオはパイロットとしても素晴らしい才能を発揮していた。
「懐かしい家に帰ってきた。」久しぶりに家族団欒の時を過ごすことになる。この地域は嘗ての秘境駅の趣を取り戻していた。
マオと鉄子は久しぶりに飯田線を堪能、鉄子の家で猟師料理を堪能した。5日目、早瀬大佐より連絡がありこれからそちらへ行くからと言うことであった。3時間後美沙はやってきた。彼女も休暇と言うことでこちらへ来たとの事だが何故か塞ぎこんでいる。
実はこのとき美沙はグローバル総督より、宇宙移民船の艦長として人類が移民できる星を探してほしいと打診されていたのだった。
マオと鉄子の家族は、今までも度々美沙や輝を招き食事をふるまっていたが、今日は特別の郷土料理で美沙をもてなした。鉄子の父が山に入り雉や猪を仕留めてきたのだった。
この地域の生物は、着実に増えていた。美沙は囲炉裏を囲んだ皆に移民船の話しをした。まだ数年後の話だが、地球を離れる事の不安や寂しさを吐露した。
「私も行く」マオが言った。マオは今まで誰にも話していなかったサラへの想い、宙への憧れを話し始めた。「美沙さん私行く、輝さんだって必ず行ってくれる」。
鉄子や鉄子の両親は反対したがマオの決意は固かった。そして美沙も軍の打診を受け入れる事となった。この夜は遅くまで囲炉裏を囲んで話しがなされた。
翌朝早くからマオは鉄子の父と共に猟に出かけた。雉や兎を仕留めた二人は帰途に着いた。その時目の前に変わった動物が現れた。鉄子の父も見たことが無かった。二人に気づいたその動物はこちらに近づいてきた。「かわいい」、マオはその動物を抱き上げると家に連れ戻った。
美沙も驚いた。「こんな動物初めて見た突然変異かしら?」「だとしたら生態系の異常かしら」その時マオが口を開いた。「違うよこれはバジラ、マヤンに伝わる幻の動物」きっとそうよ、マオは確信めいた予感があった。それにこの子私に何か話しかけているように思う。美沙はこの生物をマオに預け研究を命じた。この時マオはいくつもの博士号を取得し、歴史、文化、生物学の第一人者になっていた。

休暇は終わりマオは美沙を乗せバルキリーでマクロスに向かった。「最初に輝に話す。」美沙は呟きバルキリーを後にした。
マオは研究室に戻り早速アイモと名をつけたバジラを検査した。「地球上の生物ではありえない」哺乳類の様でもあり、昆虫の様でもあり。でも今の所危険はなさそう。それに何故かアイモといると昔マヤンでサラと過ごしたことが思い出される。マオは安らぎを覚えた。

月日はあっというまに流れ、いよいよ第一次移民船団出発の日を迎える。その前夜マオは、美沙からミンメイを紹介される。
銀河のスーパースターは、輝いていた。一条少佐はミンメイより美沙を選んだと言う話を聞いたことがあるが、とても信じられない。
この日は鉄子の家族も呼んでパーティーが開かれた。ミンメイも参加して信じられない位盛り上がったが、明日は大丈夫なのか?マオはそう想い鉄子の家族と会場を抜け出した。グローバル総督はベロベロに酔っていた。
予約してあった郷土料理の店に移動したマオ達家族はしみじみと別れを悲しんだ。「また会える絶対に会える。」最後は皆で抱き合って泣いた。
進宙式は、ミンメイの歌で始まった。「今日は何も起こらないだろうな?」グローバル総督は呟いた。二日酔いではっきりしない頭で祝辞を述べ早瀬少将を迎えた。そして旅立ち、移民船団護衛艦に乗り込んだマオは、またあの日のことを思い出していた。「きっと会えるよね!」足元にアイモが擦り寄ってきた。
さあ出発だ
続く
この物語は、TV版、劇場版、OAV版、その他マクロスシリーズとは一切関係ありません。
又、著作権侵害の意思もありません。あくまで本人の妄想です。

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